笑顔の裏にある過去 ~癒しを届けるセラピストの物語~

  コラム

はじめまして、帝大宮店セラピストの明です。

私はセラピストとして、心と身体の両方に寄り添う仕事をしています。

このコラムでは、幼少期の孤独や経験を通じて、なぜ今この道を選んだのか、その想いをお伝えしたいと思います。

 

幼少期

私が育った家庭は、少し特殊でした。父と母は夜職に就いており、夜になると仕事に出かけ、家を空けることが日常でした。そのため、私が物心つく頃には、夜に家に親がいないことが当たり前になっていました。両親が不在の夜は、姉と兄が私の面倒を見てくれるのが普通でした。姉は母親代わりに、私の世話を焼いてくれました。時には夜泣きをする私をあやしながら、自分の勉強や趣味を後回しにしてくれていたことを思い出します。兄はどちらかというと放任主義でしたが、私が怖がっているときや困っているときには、何だかんだで助けてくれました。

それでも、親がいない寂しさは消えませんでした。両親は一生懸命働いているのだとわかっていても、他の友達の家族が夜ご飯を一緒に食べたり、夜寝る前に親とお話したりしているのを聞くたびに、羨ましく思いました。「自分もそういう家庭に生まれていたらよかったのに」と思うこともありました。
特に夜が怖かった。暗く静かな家の中で、心細さに襲われることがよくありました。寝る前に「今日は帰ってきてくれるかな」と考えながら、姉に抱きついて寝る日々。そんな環境で育ったせいか、人に甘えたり寄り添ったりすることが好きになったのかもしれません。

姉と兄との年齢差も、私にとって少し辛いものでした。二人は私よりもずっと大人びていて、自由に行動する姿が眩しく見えました。一方で、自分は幼いがために家に残されることが多く、「早く大きくなりたい」「もっと自由になりたい」という気持ちが強くなっていきました。しかし、その反面、自分の幼さが原因で家族との距離を感じることもありました。「どうして自分だけこんなに子供なんだろう」と、ひとりで悶々と考えることもありました。

学校でも私は引っ込み思案で、人見知りが激しい子供でした。特に女性と話すのが苦手で、同級生の女の子と目を合わせるのすら恥ずかしかった。何か話しかけられると顔が真っ赤になり、うまく返事ができない自分が嫌でたまらなかったです。自分の弱さや不器用さを認めるのが怖くて、どうしても殻に閉じこもってしまう子供でした。

そんな幼少期を過ごす中で、私が唯一自信を持てたのが「人を喜ばせること」でした。姉や兄が笑顔になるのを見るのが好きで、自分にできる精一杯のことで二人を手伝ったり、励ましたりしていました。例えば、姉が疲れているときには肩を揉んであげたり、兄が悩んでいるときにはお菓子を持っていって慰めたり。「ありがとう」と言われるたびに、自分の存在が少しでも役に立っているのだと感じられて嬉しかった。

青年期

中学・高校では野球部に入りました。チームスポーツの中で、少しずつ協調性や責任感が育まれていった気がします。ただ、性格的にはまだ内向的で、特に女性に対する苦手意識は根強く残っていました。

高校時代には彼女ができましたが、手を繋ぐのが精一杯で、それ以上の進展がないまま終わる恋愛ばかり。自分の中にある「もっと仲良くなりたい」という気持ちと、「自分なんかで本当にいいのだろうか」という不安がせめぎ合っていました。その結果、いつも臆病になって一歩踏み出せない。

大学に入ると、ようやく女性に対する恐怖心が少しずつ薄れていきました。それは18歳のときの彼女が大きなきっかけでした。彼女も私と同じように恋愛経験が浅く、お互いに手探りで関係を深めていく中で、「相手を喜ばせたい」という気持ちが芽生えました。それから性への探究心が高まり、相手にイッてもらえる事に喜びを感じる日々で、毎週のようにデートでラブホテルに行くようになった淡い記憶を思い出します。彼女と過ごした3年間は、私にとってかけがえのない時間であり、現状のセラピストとしての基礎を築いてくれた時期でもあります。

社会人時代

大学卒業後、私はサービス業に就職しました。「人を喜ばせる仕事がしたい」という思いで選んだ道です。接客業はお客様との距離が近く、その分やりがいも大きかったのですが、同時に課題も多くありました。

特に辛かったのは、クレーム対応です。一生懸命頑張っても、「これじゃ満足できない」と言われることがあり、そのたびにスタッフたちのモチベーションが下がってしまう。私は現場の状況を見ていて、「もっとスタッフをサポートしたい」という気持ちが強くなっていきました。

そこで、心理カウンセラーの資格を取得することを決意しました。資格を取ったことで、スタッフ一人ひとりのメンタルに寄り添うことができるようになり、職場環境が少しずつ改善されていくのを実感しました。スタッフが笑顔で働ける職場作りを支える中で、「人の心の支えになる」という新たな目標が生まれました。

尽くす喜びと寄り添う心

幼少期から社会人までの経験を振り返ると、「尽くすことが好き」という性格は、幼少期の環境や過去の恋愛経験から自然に形作られてきたものだと感じます。両親がいない夜を過ごしながら、人に寄り添う大切さを学び、恋愛を通じて「相手を喜ばせること」に喜びを感じるようになり、社会人としては「心の支えになる」という使命感を得ました。

尽くすことは、私にとって単なる行為ではなく、生きる喜びそのものです。誰かの笑顔や感謝の言葉を見聞きするたびに、「自分も少しは役に立てたのかな」と感じ、幸せな気持ちになります。この気持ちを忘れずに、これからも「人のために」尽くし続けていきたいと思っています。

明【Mei】